ジムニーJA11 エンジンベッドガスケットの交換作業
前回の予告の通り、エンジンヘッドガスケットの交換を行いました。
これが実にめんどくさい作業でした。
ヘッドガスケットの状態は、何カ所かをチェックすることで確認することができます。
チェックポイント
・ラージエーター(もしくはリザーブタンク)からエンジン稼働中、小さな気泡が絶えず出ている。
・ヘッドガスケット周辺からクーラントが漏れたような跡がある。
・ヘッドガスケット周辺からエンジンオイルの漏れた痕がある。
・エンジンオイルが乳白色になるなど、クーラントとエンジンオイルが混ざっている
上記のような症状がある場合、ほぼヘッドガスケットが抜けている状態です。
では2号車の場合はどうかというと、若干のオイル漏れの形跡はあるものの、ラジエータリザーブタンクからの気泡は確認されず、エンジンオイルもきれいなままです。
当初、ラジエーターキャップを開いて気泡を確認しようとしましたが、強化エンジンマウントを装着していることもあり、振動でラジエーターが暴れて気泡確認どころではありませんでした~~
しかし、先に書いたように、今回はヘッドガスケットの交換のほかに、1番ピストンの状態チェックというミッションもあります。
溶けたプラグを見た以上、一度エンジンをチェックしないと、気持ち的に思いっきり回せません・・・・・
まずはヘッドガスケットを注文、これがないと先に進めません。
せっかく交換するのだからメタルガスケットへの交換などのチューニングもアリなのですが、今回は予算の都合上、純正(同等品)部品の交換を行います。
スズキ部品のほか、MonotaROなどでも手に入りますが、今回はヤフオクで税込み2000円送料380円で出品されていたヘッドガスケットを注文しました。
部品到着、早速作業にかかります。
まずは、定番のエアクリーナーとインタークーラーの取り外し。
JA11のインタークーラーは外しにくいことで有名ですが、2号車では作業性向上のため、インタークーラーのステーは前と横の2カ所はすでにカット済みで、後ろのステートと2個のパイプのみで固定されていますので、サクッと取り外しが可能です。
タービンの取り外し
つずいて、タービンアウトレットと、フロントパイプをつないでいるスプリング付きのボルトを外します。
これは、タービンとエキマニをつないでいる3本のボルトを外すためですが、この3本のボルトはよく折れることで有名です。
今回、ボルトの予備を準備していない上、折れたら後処理がウルトラ面倒なので慎重に作業します。
おもうに、このボルトがよく折れる原因として、ボルトに対してマフラー(やフロントパイプ)の加重がかかっているのが原因ではないかと思っています。
タービンとフロントパイプを分離してやることで、不要な加重をカットして、ボルトを緩めることができます。
緩める前にはタービンアウトレットとボディーをつないでいるボルトも緩めて、変な力がタービンにかかっていない状態で作業を行います。
それでは回します!
えいやっと、回すと3本とも素直に回り、問題なくタービンの分離は成功しました。
エンジン本体の作業
次にエンジン本体の作業です。
まずはエンジンオイルとクーラントを抜きます。
再利用するので、バケツに取りました♪
つずいて、エアコンのコンプレッサーとオルタネーターを緩めて、Vベルトをはずします。
タイミングベルトの取り外し
タイミングベルトを外す作業に入ります。
JA11のタイミングベルトは、上下に分割可能なカバーの中にあります。
まずは上部カバーを外します。
エンジン前にあるオイルのレベルゲージを取り外し、クーラントとタービン圧の金属パイプも外します。
ほんとうは、普通のJA11の場合、この作業のまえにラジエーターのシュラウドを外し、ファンを取り外さなくてはなりませんが、2号車の場合、電動ファン化しているので、ラジエーターとエンジンの間に十分な作業スペースが存在し、1工程カットできます♪
ウオーターポンプ前のプーリーを外します。
クランクカムの前についているクランクプーリーを外します。
上部のカムプーリーの隙間にバールを入れて、奥のボルトの頭にかませて、タイミングベルトを固定します。
あとは、気合いを入れて、スピンナーハンドルで一気に回すと堅いボルトが外れます。
タイミングベルトの下部カバーを外すと、タイミングベルトが露出します。
後で取り付けるために、念のため、タイミングベルトのクランクギアとカムギア2カ所に印をつけてから、テンションローラーをはずしてタイミングベルトを取り外します。
クランクプーリーを外した方法と同じ要領でカムギアのボルトを緩め、カムギアを外します。
カムギア後部のカバーを外します。
ボルトを緩めようとすると、カムギアやクランクギアを外すためにバールでテンションをかけたボルトが変形していました!怖い怖い~~
ここまでで、30~40分位の作業でしょうか。
ここからがめんどくさいです。
エンジンヘッドの取り外し
エンジンヘッドからインマニを取り外せれば簡単なのですが、ボルトに手が届かず、エンジンからインマニを取り外すのは困難です。なのでインマニがついたまま、ヘッドを取り外すのですが、インマニには無数のパイプがパズルのように取り付けられています。
取り付け時にこれらのパイプをそれぞれ所定の位置に戻す必要がありますが、なにせ数が多い!!!!
どうしようかと悩んだあげく、荷札をつかい、外したパイプと元に位置にそれぞれ荷札をつけて「A」と「A」、「B」と「B」ってな感じでマーキングを行いました。
細かい上に、なかなか外れないパイプもあり、
、パイプの整理だけで1時間近くかかってしまいました。
ようやく完了、エンジンについているパイプやセンサー、カプラーなど一通りマーキングの上取り外しが完了。
タペットカバーを外して、エンジンヘッドを取り外します。
エンジンヘッドはM10のボルト8本で固定されています、すこし悩んだのが、M10のソケットが入りません????よくよく観察してみると、このボルトの頭、星形になっていて、M10のソケットでも8角形に切ってあるタイプでないとはまりません、、、、、ここで10分位のタイムロスです。
さらに、このボルトは600Kgというどえらいトルクで固定されています。
スピナーハンドルにパイプをつけて延長し、「どりゃ!!!!!!!!!!!」と気合いを入れるとようやく外すことができました。
8本のボルトを外して、よいしょ!とエンジンヘッドを持ち上げると「ご開帳!!!」
ようやくピストンにたどり着きます。
問題のヘッドガスケットが、ぽろっと出てきましたが、見た感じ抜けはないようです・・・・・・・
早速、気になっていた1番ピストンやバルブをチェック、カーボンで汚れているものの、ピストン本体やバルブに傷はなく、プラグのかけらのようなものもありませんでした。
2番、3番も同様、特に不具合はなさそうでした・・・
よ~くふきふき掃除して、カーボンを除去します。
「OK」
新しいヘッドガスケットをセットして、エンジンヘッドを所定の場所に戻します。
エンジンヘッドのボルトの締め付けトルクは550~600Kg、まずは、全体を普通の力で固定し、外すときと同様に、スピンナーハンドルを延長して、力の限り締め付けます。
ちなにみ、ここのボルトの締め付けは順番があり、内側4本を対角になるように締めて、その後、外側4本を対角で締め付けます。
ホース類を戻します。
これが又めんどくさい・・・・
タイミングベルトを取り付けます。
カムギアを圧縮上死点に合わせ、クランクプーリー側もポンチマークがエンジンの設定点のマークに合うように調整します。
調整できたら、タイミングベルトを取り付けます、するとあら不思議、外すときにつけたマークとぴったり合致します。
テンションローラーをつけて固定
マーキングしていない場合は、念のためカムギアを2周回したとき、ふたたび上下のギアが同じ場所にあるかを確認すればOKです。
タイミングベルトカバーをつけて、カムプーリーを取りつけます
実はこのとき、大変なミス!!!を犯していました・・・・その後すぐに、大事件が発生します・・・・
タイミングベルトがついたら、Vベルトやオルタネーターのベルトを取り付けて、タービンを取り付けます。
このとき、「オイル漏れの原因は、もしや、エンジンとたーピンをつないでいるタービンのオイルパイプかな?」と思い、エンジン側のパイプのユニオンボルトを強く締め付けました、、、すると、ぽろっと・・・・・・・・・・・・・
オイルパイプのユニオンボルトの頭がちぎれて落ちたではありませんか!!!!!!!!!!!!!
げげげげげげげげげげげげげげげ!!!!!!!!!!!!!!!!!
あせって、エンジン側にのこった、ユニオンボルトの残骸を確認します。
これが抜けないと大変めんどくさいことになります。
残骸を手で回してみると、普通に回すことができて、摘出することができました
「よかった・・」
一安心です。
ユニオンボルトは予備を持っていたため、作業は続行、タービンを固定し、フロントパイプをつなぎ、エアクリとインタークーラーを取り付けます。
エンジンオイルとクーラントを注入!
できた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
かなり時間かかりました、6時間~8時間といったところでしょうか。
緊張のエンジンON!
ブロロロロロロッロ!!!!!!
一発始動!アイドリングも安定して問題はなさそうです。
そのまま、試乗、なんだか、これまでよりエンジンがなめらかになったような?
きれいに掃除したせいかでしょうか?
アイドリングが落ち着く時間が早くなったり、エンジンの始動がこれまでよりなめらかになった気がします。
実は、この日の翌日、「チャイナカップトライアル第1戦」
なんとか間に合いました。
事務局に、ギリギリですが、まだエントリーできますか?と聞くと「OK」とのこと。
滑り込みセーフでした。
事件発生
しばらく休んだ後、念のためもう一度点検します。
アイドリング状態のまま、しばらく放置、5分くらい放置下でしょうか、
突然でした、エンジン停止?!?!
「えっ何故」
もう一度、エンジンON
エンジンが掛かりました。
あれ???? 何?????
何かおかしいです?
あれ?ステアリングが重い???
バッテリーの警告灯がついてる!!!
すぐにエンジン停止
ボンネットを開きチェックします。
げげ!
エンジン前のVベルトが外れてる!!!
その上、タイミングベルトが
カバーを切って「こんにちは」しとる!!orz
原因はすぐにわかりました。
カムギアとクランクギアをエンジンに取り付けたときのボルトを逆にしてしまったのです。
クランクギアのボルトはクランクプーリーを押さえるために、ワッシャーと一体型になった幅広い接地面を持つボルトで、カムギアのボルトは、通常のボルトです。
これをあべこべにつけたために、クランクギアからプーリーが外れて、Vベルトがはずれ、クランクギアが、ブーリーブン前にでてきたために、タイミングベルトも前にずれて、カバーを切り裂いて、出てきたようです。
はやく、気づいてよかった・・・・・もう少しエンジンを回していて、タイミングベルトが外れでもしたら、再起不能やった・・・・・
大反省です
このとき、すでに午後8時、あたりは真っ暗、青空整備の環境で、これからの作業は不可能です。
チャイナカップの事務局に連絡・・・
「あの~さっき出場すると連絡したものですが、車が壊れちゃって、大変申し訳ないのですがキャンセルで・・・・・・・・・・・・・」
快く受け付けて頂きました。
翌日、チャイナカップトライアル当日です。
私は朝から作業です。
とりあえず、クーラントを抜いて、タイミングベルトのカバーを外します・・・
見事にタイミングベルトの形のままくりぬかれています。
一度ベルトを外して、前日と同じ作業・・・・・
ボルトを緩めて上下のボルトを入れ替えます・・・
ベルトの位置を合わせて、取り付け、タイミングベルトカバーは予備がないので、とりあえずアルミテープを貼って応急処置しました。
作業完了
恐る恐るエンジンON
正常に目覚めました。。。。。。。。
「あ~~~~~~ようやく直った・・・」
ここ最近故障だらけで(半分は自業自得ですがorz)お疲れ気味です。
その日、テストがてらチャイナカップトライアルに「ヒカリオートレーシングチーム」の応援にゆきました。
エンジンも安定、ブーストも安定、ステアリングも安定・・・・
故障しまくりで、最近ちょっとお疲れです(家内も切れ気味です) もう当分壊れないでほしい・・・・
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