イグニッションコイルの種類と点火系の用語解説 ジムニーのイグニッションコイル変更 他車流用
こんにちは!
今回はコイルのお話です。
ホンダアクティーHH3/HH4のコイルを流用すると、すごくパワーアップするという話をJA乗りのJBさんから聞きました。
もうこれは試してみるしかありません。
早速ヤフオクで「ブツ」を物色します。
ありました、即決価格1500円、送料520円 合計2050円
2050円でパワーアップできるのならば、超お手軽なチューンアップです。
写真を見ると、どうやら閉磁式のコイルのようです。
現在のカブキ号には1号車から引き継いだセルボモードの閉磁式コイルが取り付けられていますが、どのくらい変わるのか楽しみです。
しかし、コイル、というかイグニッションシステムには結構難解な専門用語が多数出てきて非常にわかりにくいです。
「閉磁式」に「開磁式」、「ポイント式」「フルトラ」「セミトラ」「デスビ」「イグナイター」「CDI」などなど
ということで、まずはイグニッションシステムについてのお勉強です。
Contents
イグニッションシステムとは
イグニッションシステムとは「コイル」から「デスビ」・「スパークプラグ」までの自動車の点火系の回路で、コイルで発生した高圧電流がデスビを通りスパークプラグにわたります。
プラグでスパークが起こり、エンジンシリンダー内のガソリン混合気を爆発させて、エンジンを動かしています。
では最初にコイルから
コイルとは
コイル、正式名称は「イグニッションコイル」です。
(主に)バッテリーから電源をコイルに送り、コイルによって12ボルトのバッテリーの電圧の電流は25000ボルト~30000ボルトに変圧されます。
この高電圧を作る装置がコイルです。
ではどうやって、2500倍もの高電圧に変圧できるのか?不思議ですね~
コイルの内部には1次コイル、と2次コイルと呼ばれる2つのコイルが巻かれています。
バッテリーの電気が流れるのは1次コイル側、1次コイルに断続的に電流を流すと、あら不思議、2次コイル側に25000~30000ボルトの高電流が発生するのです。
これを「相互誘導」といいます。
この現象を式にするとこのようになります。
二次コイルの起電力=1次コイルの起電力×2次コイルの巻き数÷1次コイルの巻き数
具体的に計算してみましょう
・一次コイルの起電力=12V
・二次コイルの巻き数=1000巻
・一次コイルの巻き数=10巻
の場合
12×1000÷10=1200
ということで上のコイルの巻き数だと12ボルトの電圧が1200ボルトに変圧されることになります。
不思議ですね~
コイルの種類
では、コイルの種類です。
コイルには「開磁式」「閉磁式」の2種類があります。
開磁式コイルとは
JA11ジムニーの純正コイルは開磁式のコイルです。
缶コーヒーの缶にタピオカ用のストローがにゅ~と出ているような形をしています。
旧車など、昔の車はこのコイルが主流です。
開磁式のコイルはコイルのコア(芯)に電流が流れる仕組みををとっておらず、磁気はコイルの外側をとおります。
磁気がオープンになっているわけです。
なので、コイルの外にも磁気がダダ漏れとなるわけです。
開磁式のコイルには次のような特徴があります。
長所:
・磁気飽和が起こりにくい(界磁電流が大きくなると、磁束が界磁電流に比例せず、頭打ちになる現象。)
・大きさの制限が緩いので2次コイルの巻き数を容易に増やすことが出来る。
・2次巻き線を太くすることが出来、温度上昇による劣化、断線に耐性が高い
短所:
・閉磁路に比べて、磁界の漏れが多いので、磁力が弱い、磁気効率が悪い
・同じ2次電圧を得るには、閉磁路に比べて巻き数を多くする必要がある
JA11の開磁式コイルの場合、コイルケースの中にオイルが充填されており、少しでも磁気が漏れないよう工夫されています。
閉磁式コイルとは
では、閉磁式コイルとはどんな物かというと、コイルケースの外に磁気が漏れないよう設計された物です。
1次コイル、2次コイルの芯となる部分で磁力が発生し、コイルケースの外に磁力が漏れません。
閉磁式コイルの特徴としては次のようになります。
長所:
・磁界の漏れが少ないく磁力が強い
・なので、コイルの効率が良い
・なので、2次側の巻き数を少なくできる
短所:
・磁気飽和が起こりやすい
・コイルを巻く空間が狭いので、2次側の巻き線の線径が細くなる
・温度上昇による劣化、断線への耐性が低い
では、閉磁式と開磁式ではどちらがよいのか?ということになりますが
でかい開磁式と小さい閉磁式は同じくらい、でかい閉磁式の勝ち!ということになるのでしょうか
コイルについてはなんとなくわかりました。
では続いてはコイルから電気を送られるデスビについてです・
デストリビューターとは(通称デスビ)
デスビはコイルから送られてきた電流を各プラグ(ジムニーの場合3気筒なので、プラグは3本)に分配する装置です。
また、デストリビューターにはスパークプラグに電流を送る役目の他に、イグニッションコイルに断続的に電流を送る役目も果たしています。
JA11でデスビの接点が摩耗していると、雨の日などにエンジン不調になるあの装置です。
プラグの方に電流を送る分配機能に関しては、説明の必要はなく、デスビの中でくるくる回っているローターが(3気筒の場合)3個の電極に順番に接触することでリズム良く高電圧の電流をプラグに送っています。
では、イグニッションコイルに電流を送る仕組みについて、これは徐々に進化してきて、大きく分けて4つの方式が良くネット上でも言われます。
「ポイント式」「セミトラ」「フルトラ」「CDI」です。
SJ30をフルトラ化したとか、たまにブログなどで見かけますよね~
さて、これは何のことでしょうか?
ポイント式とは
デストリビューターの中で回っているカムが「ポイント(コンタクトポイント)」の電極を開けたり閉じたりします。
この断続的な電流がイグニッションコイルの1次コイルに伝わり、電磁誘導作用(昇圧)によって2次コイルに数百~数千V電圧が発生します。
要は、全て機械式に電流を制御しているのが「ポイント式」です。
セミトラ式とは(セミ・トランジスタ式)
セミトラ方式とは、ポイント式のコンタクトポイントを物理スイッチから、電気スイッチに置き換えた形式になります。
磁気を帯びた非接触ポイントがディストリビューター同軸に気筒数あり、非接触ポイントがピックアップを通過する際の電磁誘導でイグニッションコイルの一次電圧を制御します。
ポイントの摩耗や焼損がなくなったことで信頼性が大きく向上しましたが、デスビキャップの接点との接触部分の摩耗による点火時期変化の問題は依然存在し続けたため、後にフル・トランジスタ式へ移行することになりました。
フルトラ式とは(フル・トランジスタ式)
フルトラ式とは、セミトラ式やポイント式のカムによる接点機構を完全に廃して、回転角センサーとイグナイター(※)によってイグニッションコイルの開閉制御を行う方式です。
ディストリビューターキャップ以外の機械的な接点がなくなったため、ディストリビューターの中では最も信頼性に優れています。
つまりは、機械式ではなく、ECUによる電気信号によりイグニッションコイルに電流を流す方式です。JA11はこのタイプになります。
(※)イグナイターとは
イグナイターは、ポイント式ディストリビューターのコンタクトブレーカーの断続機能をトランジスタを用いた電気回路に置き換えた物。
バッテリーからの電流はイグナイターの作動により断続的にイグニッションコイルに伝達されます。
CDIとは(Capacitor discharge ignition キャパシター・ディスチャージド・イグニッション)
イグナイターは12Vのバッテリーの電源を一次コイルに提供して二次コイルで昇圧してからプラグ点火するのですが、CDIはバッテリからの電圧を昇圧させてコンデンサに充電して、充電した電荷を一気に放電し、コイルの2次側に高電圧を発生させ、点火・燃焼させます。元から高圧電気を1次コイルに送り込み、最終出力は数万ボルトにも達するシステムです。
CDIは短い放電時間で強い火花エネルギーを発生するので高回転エンジン向きです。
アメリカ製のMSDなどがCDIの代表的なシステムですね~
最近の点火装置に関しては、フルトラ式(イグナイター利用)とCDI(容量放電)式に分けられます。CDIの方が火花エネルギーは強いですが放電時間は短いという特徴があり、両者はエンジンの種類や性格で使い分けられています。
CDI点火は、フルトラ点火に比べると強い火花を飛ばすことができますが、放電時間は短くなる傾向があります。CDIは高回転エンジンに向いており、一方でフルトラは低中速域を多用するエンジンに向いているといえるでしょう。
そして、点火システムの技術もどんどんと進化してゆきます。
それまで標準的な点火システムとして採用し続けられてきた「デスビ(デストリビューター)」ですが、デメリットも露出してきます。
・ディストリビューター駆動に伴う動力損失
・ディストリビューター内部、ハイテンションコードでの電力損失
・点火タイミングを細かく変化、制御できない
・ディストリビューター各接点の摩耗に伴う、定期的な点検調整
機械式のデスビでは避けては通れないデメリットです。
そこで新しく採用されたのがダイレクトイグニッション方式です。
ダイレクトイグニッションとは
ダイレクトイグニッションは性能向上が限界に達していた従来の機械式(ディストリビューター方式)の点火システムに代わって開発された電気式の点火システムです。
従来の点火システムは、ひとつの点火コイルで発生させた点火信号を、カムシャフトと直結したロータリースイッチであるデスビにより、各気筒の点火プラグに点火信号を分配するものでした。
機械的なディストリビューターは、電気接点の磨耗や接触不良の発生、さらには接点間スパークの発生により電波ノイズの発生が避けられず、エンジンの高回転化に対応できない等の問題を抱えていました。
そこで考案されたのがダイレクトイグニッション方式です。
ダイレクトイグニッションの最大の特徴として点火コイルから点火プラグまでの距離が短く、プラグコードを必要としない事が挙げられます。
電圧のロスを最小限に抑え、機械式点火システムと比較して燃焼効率が良く、強大なトルクが得られ、燃費性能も高いとされています。
センサーで点火時期を算出し、インジェクションもECUが包括制御を行う事で全回転域において安定した点火と電カ供給を可能とし、メンテナンス性が高く、改修、改良が行いやすです。
デメリットとしては、点火コイルの構造・磁性体材料によっては高回転域で2次電圧が低下することがあります。
また各部電圧のトータルバランスが取りにくく、アーシング等の電装部品を追加施工する事によって、そのバランスが崩れてしまうと本来の性能が発揮できなくなってしまうとも言われます。
部品単価もプラグコードのセットと比して高価な場合が多くなっています。
ジムニーに流用コイルを取り付け
さて、前置きが異常に長くなりましたが、そんなけで、カブキ号にこれまでよりかなり大きめの閉磁式コイルを取り付けます。
前記の通り、JA11はフルトラ方式です。
yahooにてポチった後、コイルは数日で我が家にやってきました。
「なぜ・・・・・・」
コイルを見て思いました
4芯あります。
これでは、どこに何を刺せばよいの変わりません。
う~~~ん
とにかくいろいろと調べてみます。
品番は「TC-03A」調べると、いくつか情報は出てきますが、肝心のどこにバッテリーのプラスをつないで、どこがアースなのかはっきりしません。
ヒカリオートのグループラインにも流して訪ねます。
すると!神が!
「これをどうぞ~~」
ありがたい!
これを見たところ、使うのはコイルの左側の端子のみ、左下がバッテリー、左上がアースと判明しました。
まだ、問題があります。
中古品の性です。接続用のカプラーがありません。。。。
当初は端子に直接ハンダ付けして、シリコンパイプで絶縁しようかとも思いましたが、物はコイルです。下手なことをするとエンジンを壊しかねません・・・
やはりカプラーは必要と言うことで、ネットを探し回りました。
そして、資料の写真とほぼ同じ形状のカプラーを発見しました!!
楽天です。(後にヤフオクでも発見)
「住友電装090型2極HW防水Fコネクタ(端子無)/2P090WP-HW-FS-F-tr」という品です。
価格は440円 プラス送料380円です。
早速注文します。
注文2日後、商品はすぐに届きました!
おそるおそる注文したカプラーをコイルにつないでみます。
ジャストフィット!!!!!!!!!!!!
明日は土曜日、早速コイルを交換して尻が変わるかテストできます。
「あれ????・」
と、暗雲が立ちこめます。
「ない・・・ついてない・・・・・」
そうです、「住友電装090型2極HW防水Fコネクタ(端子無)/2P090WP-HW-FS-F-tr」はカプラーのみの販売だったのです。
端子、買い忘れたorz
明日は土曜日、テストはお預けです。
端子を探して注文します。
このお店「配線コム」土日はお休みのようです。
注文したのはこちら「矢崎総業090型HM/MTシリーズ非防水メス端子/F090」
24円×2個 プラス送料 380円(涙 です。
ということで、ようやく準備は完了、インプレッションは次週に持ち越しとなりました(涙
<2021年4月25日追記>
さて、大型の閉磁式コイルに変わり走りは変わったでしょうか。
アクセルオンで走り出します
「う~ん、出だしがちょっと、鋭くなった気がするような、しないような・・・」
「トルクがちょっと、太くなったような、なってないような・・・・」
結論、体感はほぼありませんでした。まあ、きれいに付いたから 良し!
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