草ヒロのジムニーSJ10を買いに行った話
2022年の大晦日、お正月に向けてせわしく準備をしている中、ピロロン~とLINEが。
ヒカリオートの中村社長でした。
「○○でこんなの見つけたよ~~一回買えるか聞いてみれば~」
そうです。
SJ10です。
僕は前々からSJ10が欲しいと常々言ってきていたのです。
あの、なんとも言えない無骨なデザイン。
2ストロークエンジンの独特なサウンド
キャブレターの機械的な魅力
それらが、ぎゅーっと状祝されているのがSJ10です。
でです。
中村さんより送られてきた写真をじっくりと観察してみます。
さらに、場所をgoogleマップで確認し、ストリートビューでSJ10がおいてあるか確認して見ました。
確かにあります!
しかし、この写真だけではまだSJ10である確信が持てません。
写真を見ると、どうやらナローボディーです。
SJ10は1型から4型まであって、1型はその1つ前の360ccのLJ20とボディーが共通になっています。
ここで、ジムニーの歴史をおさらいしてみます。
ジムニーの歴史
ジムニーがデビューしたのは1970年(昭和45年)です。
デビュー当初から「ラダーフレーム」「パートタイム4WD」「リジットアクスル(車軸懸架式)」という3首の神器を備えています。
ラダーフレームとは、梯子状のシャシーのことで、ジムニーの場合、初代から現在に至るまでこの構造を堅持しています。
ラダーフレームにエンジンやサスペンションが付いているので、モノコックのようにボディー側に強度を求めなくてもラダーフレームだけで充分な強度確保できます。
シャシーとボディが別々なので重くなると言う欠点がありますが、本格4WDと言われる車は例外なくラダーフレームを採用しています。
JA11の「バンカット」の様にボディーを切り刻んでも車検に通るのはボディー側に強度が要求されていないからです。。
パートタイム4WDとは、スバル車の4WDは有名ですがあちらはフルタイム4WD、パートタイム4WDはトランスファーを使い、必要なときにだけ4WDに切り替えが出来るシステムです。
必要なときにだけ4WDに切り替えることが出来るので燃費に有利出会ったりコーナリングも通常は2WDであるためスムーズに曲がれます。
もちろんデメリットもあり、ジムニーに代表するパートタイム4WDにはセンターデフがありません。このため4駆での走行時、前後のタイヤの回転差が吸収されず、タイヤと路面間でスリップしたり、最悪の場合リングギアの破損など、駆動系に大きなダメージを与えてしまうことがあります。
この為、パートタイム4WDの車では、通常のアスファルトでの走行は2駆走行が基本で、オフロードや雪道など、前後の回転差を吸収できる路面でしか4駆にすることは出来ません。
リジットアクスルとは、ジムニーなどが採用しているサスペンションの構造の名称で、日本語では車軸懸架と言います。左右の車輪が車軸でつながっていて、ホーシングと呼ばれるケースで一体式の構造となっています。
左右の軸が一本に繋がっているため、左右のサスペンションが別々に動くストラット式やダブルウイッシュボーン式と異なり、悪路走行時は車軸地面間のすきまが大きくなるので走破性が高くなります。このため、本格4駆と呼ばれる車は、これまた多くがリジットアクスル式のサスペンションを採用しています。
と、長くなりましたが、ジムニーが軽自動車でありながら本格4駆であり続けることが出来るのはこの3神器を採用しているからとなります。
で、歴史に戻りましょう。
ジムニーの前身と言われるのは1967年から1年間だけ販売されたホープ自動車のホープスターON型です。(現存2台と言われていますが、驚くべき事に2023年2月18日現在、ヤフオクに出品中!!!!!!!!!!!!!です)
ホープスターON型は商業的には成功したとは言えず、販売権をスズキに売り渡します。
そして、世に出たのが初代ジムニーLJ10型です。
型番のLJはリトルジープの略だとか。。
軽自動車なので、当時の規格360ccです。
デザインはもう、このときから完成されていて、ホープスターの箱を積んだようなデザインとは全く異なる物でした。
エンジン FB型 359cc 空冷2サイクル直列2気筒
最高出力 25PS/6,000rpm
最大トルク 3.4kg・m/5,000rpm
最初のジムニーのエンジンは空冷でした。
ボディーも幌タイプのみです。
LJ10が販売されたのは1970年~1972年の3年間、その後エンジンを水冷式に変更したLJ20にバトンタッチされ、1976年までLJ20は生産されます。
LJ20になり、之までの幌タイプのみからバンボディーが追加されました。
エンジン L50型 359cc 水冷2サイクル直列2気筒
最高出力 28PS/5,500rpm
最大トルク 3.8kg・m/5,000rpm
LJ20ではボディータイプが2種類あり、1972年に発売された1型はフロントの車幅灯とウインカーが一体式となっています、1972年発売の2型から2つが分離され、上下二並ぶデザインとなりました。
そして、漸く登場、1976年にSJ10が販売となります。
初代SJ10は1976年6月発表後、1977年5月まで販売されます。
エンジンは当時の軽自動車の新企画に合わせて550cc に拡大されます。
エンジン LJ50型 539 cc 水冷2サイクル直列3気筒
最高出力 26 PS/4,500 rpm
最大トルク 5.3 kg・m/3,000 rpm
エンジンスペックを見ると最大出力は2PSダウンしていますがトルクは1.5Kgアップ、悪路走行にはうってつけの規格変更となりました。
1977年、再び軽自動車の規格が変更され、車幅の制限が100mm広くなります、ジムニーSJ10もこれに合わせて新規のアクスルハウジング(ホーシング)とオーバーフェンダーにより、トレッドと車体サイズを拡幅、さらに海外向けに販売されていた800ccエンジンを積むための盛り上がったボンネットを採用して見た目が大幅に変更となりました。
普通SJ10を呼ぶ場合、この2型以降のスタイルが一般的で、僕自身もこの2型以降の幌タイプのSJ10のデザインは最高にカッコいいと思っています。
(写真は垂れ目の3型です)
さらに翌年の1978年、ヘッドライトの位置が変更され3型となります。
このため、SJ10-2型を「つり目」3型以降を「垂れ目」と呼ばれるようになりました。
(個人的に垂れ目の方が好きです)
その後、SJ10は1981年まで生産され、フルモデルチェンジが行われ、SJ30(JA11と
同じ見た目の2スト)が誕生します。
それでは改めて中村さんから送られてきた写真を見てみましょう。
まず、ボディーの状態はとてもよさそうです。
ぱっと見た感じ、大きな錆は確認できません。
オーバーフェンダーは付いておらず、フロントのウインカーとポジションが上下に並んでいます。
という事は、この写真からこの車両はLJ20-2型~SJ10-1型(1972年~1977年)製という事になります。
残念ながら、これ以上はエンジンを見てみないとLJ20なのか、SJ10なのかわかりません。。。
「売ってくれますかね~~~」LINEで中村社長と相談します。。
「わからんな~~、隣が母屋だから聞いてみれば??」
う~~ん、どうしよう??
悩みどころとして、何点かあります。
まず、本当にSJ10なのか?
SJ10であったとして、動くのか?
そもそも、個人的に一番好きなのはSJ10の3型以降のオーバーフェンダー、膨らんだボンネットで垂れ目のSJ10、そこからすると、ナローボディーの1型はなんとなく違う気がする・・・
とにかく見に行ってみよう。
という事で、2023年1月1日元旦に、某所までこの車両を見に出かけてみました。
自宅から小一時間で到着、
あった!
写真の通りです。
公道の直ぐ横の角に止まっているので、違法侵入しなくても大体確認可能でした(汗
状態はかなりよさそうです。
後はエンジンさえかかればですが、エンジンや下回りなどは確認することはできませんでした。
オーナーさんに話を聞こうかとも思いましたが、今日は1月1日、元旦です。
突然元旦から、知らない人間が訪ねてくるのも何なので、日を改めることにしました。
売ってくれるかな~?
売ってくれるとしたら、おいくらかな??
そもそも、LJ20かな?SJ10かな??
ナローボディーって、どうかなぁ?
パーツは出ないって聞くけご、維持できるかな~?
うちには屋根付き駐車場ないけど、幌無いしなぁ~
どうしようかなぁ
悩みはつきません
それから、1週間、年が明けた日曜日、お昼前くらいに実際に訪ねてみました。
「ピンポ~~ン、ごめんくださ~~~い」
しばらく待つと、60代くらいの女性が出て来られました。
「突然すみません、実はちょっとお伺いしたいことがありまして・・・
となりに止まってる、ブルシートのかかったジムニーなんですが、販売されるお考えとか・・・ございますか??」
「ああ、あれですか、・・」
「あの車は、息子ので、そのうち直して乗るらしいので売る予定はないです」
即答でしたorz
結局、正体もわからずでした。
「あ~~~あっ、みじけー夢だったなぁ~~」
まぁ、実際のところ売ってもらえたとしても問題山積っぽいので、どこかで安心したという半面もあるのですが、良い初夢を見せてもらいました・・・・
と、思っていたのですが、この後、事態は急転します!!!