マニュアルトランスミッション シフトの引っかかりをオイル交換で改善 (番外編)
HA36のアルトバンが普段の足となっています。
リッター25キロと、毎日通勤で往復80キロ走る私にとっては大変強い味方です。
アルトにしては珍しい5MTです。新型となりMTが消滅したアルトにとって、今となっては大変な稀少車となってしまいました。
そんなアルトくん、基本的にはメンテナンスフリーですが、久しぶりにギアオイルの交換をしてみました。
使ったのは、激安ギアオイルで有名な、TOYOTA純正ハイポイドLSDギアオイルです。
4リッターで3000円未満で購入が可能です。
さすがにこれだけでは心許ないので、モノタロウで液化モリブデンのギアオイル添加剤を購入、添加しました。
それから、数週間、何か違和感があります???
オイル交換前と比べて、シフトが引っかかるというか・・・
3.4.5速は問題無いのですが、1速にこころなしか入れにくい
1速→2速、3速→2速への変速時に引っかかりを強く感じるようになりました。
こんなに引っかかってたっけ???
とはいえ、さほど疑問も無く乗っていましたが、某youtube番組を見ていたところ、LSD対応のギアオイルをミッションオイルとして入れると逆効果でシフトの引っかかりが出ることがあると!
何ですと!!!
という事で詳しく調べて見ました。
ギアオイルは用途別に①マニュアルミッション用 ②デファレンシャル(デフ)用 ③LSDデフ用 の3つに分かれます。
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まずはLSD対応のハイポイドギアオイルとは
LSD(リミテッドスリップデフ)はデフの内部に「湿式摩擦多板クラッチ」が組み込まれていて片輪が空転した時にクラッチが押されて反対の車輪にトルクを伝える装置です。
この多板クラッチは非常に低速で動いており適切な摩擦係数でないと滑らかに噛みあったり離れたり出来なくてチャタリングと呼ばれるカタカタ音やうなり音や振動が出ます。
このため通常のギアオイルにプラスして摩擦調整剤が必要となります。これをLSD用添加剤と呼びLSD用添加剤をGL-5ギアオイルに混ぜるとLSDギアオイルが完成します。
さらに、デファレンシャルには条件の厳しいハイポイドギヤーが用いられ、さらに運転時に衝撃荷重が加わるため、高粘度でかつ極圧性能の高いGL-4,5のシングルグレードギヤー油が多いです。
また、デフ部においても高負荷・長時間連続走行されるなど条件が厳しくなってきており,より耐熱性の優れたデフ油が求められています。
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なるほど、様はLSD対応のギアオイルには普通のギアオイルに、LSDの多板クラッチを滑らすためのLSD用の摩擦調整剤が追加されているオイルになります。
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一方、マニュアルミッション油とは
マニュアルミッションには比較的条件の緩やかなスパーギヤー等が使用され,運転条件も高速低荷重で比較的マイルドなため、APIギヤー油分類ではGL-3,4相当のギヤー油が一般的です。
粘度もシフト操作性を考え低粘度のベースオイルが使用されます。しかし、低粘度油では高温時の摩耗またはギヤー歯打ち音の発生等の問題が出てくるため,粘度指数向上剤を用いマルチグレード化(75W-85Wなど)したものが多いです。
さらに近年ではミッション部の高温化が進み,より耐熱性の良いギヤー油が求められています。一方ではマニュアルミッションのシンクロ機構において,ギヤー鳴きあるいはひっかかりなどの問題があるため,シンクロ摩擦特性も重視されています。
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マニュアルトランスミッションのシンクロの動き
シンクロメッシュ機構と言います。変速をスムーズにする装置。シフトレバーで変速操作を開始するとクラッチスリーブがギア側に移動します。
この時シフティングキーがシンクロナイザリングを押します。
シンクロナイザーリングが押されるとクラッチギアのコーン部と接触し回転差により摩擦が発生し始めます。
摩擦によりクラッチギアとシンクロナイザーリングの回転差が徐々に減ってきます。
この時シフティングキーはシンクロナイザーリングとスリーブの両側から回転差により 摩擦が生じて左右から挟まれており力を受けてますので、 固定された状態となり、スリーブが動かないように働きます。
摩擦による回転差がなくなるとシフティングキーに働く力がなくなり、 スリーブを動かそうとする力に負けてシフティングキーが押し込まれた状態となり、スリーブが動けるようになります。
さらにスリーブを動かすとリングと対抗して接触します。
この状態になるとリングとクラッチギアの摩擦が大きくなり急速にリングとギアが同期してゆきます。
リングとギアの回転差がなくなるとリングの両側は同じ回転数となり同期した状態となり、 摩擦が発生しなくなるので、リングが動ける状態になります。
スリーブによりリングが押しのけられリングギアにかみ合いさらにギアとかみ合い変速が終了します。
【出典】『最新版 自動車用語辞典』(株式会社精文館)
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ということで、マニュアルトランスミッションで入りが悪い、引っかかるなどの症状が出た場合、このシンクロメッシュ機構がうまく動いていないということになります。
HA36アルトの場合、LSDは未使用です。オープンデフのため、LSDに必要な摩擦調整剤となります。
この摩擦調整剤がくせ者でLSDの摩擦調整剤はLSDの多板クラッチをゆっくりと滑らさなくてはなりません、一方のマニュアルトランスミッションのシンクロは、ギアの摩擦を大きくして各ギア間の回転差を埋めなければならないという似て非なる性能が求められることになります。
なるほど!
つまりアルトのミッションの引っかかりを大きく感じた原因は、ハイポイドギアオイルLSDを入れたためと推察されます。
という事で、ギアオイルを変更する事にしました。
選んだのは「TM-SQUARE スイフトスポーツ オープンデフ専用ミッションオイル 2.0L ZC31S/ZC32S/ZC33S TMOL-MT010 」という代物です。
スイフト用となっていますが、同じスズキのFFのオープンデフなので、まぁ、似たようなもんでしょう~
いろいろと物色していましたが、商品の説明文が気に入りました!
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商品の説明
TM-SQUARE OPENデフ専用 ミッションオイル for SWIFT は、スイフトの純正OPENデフ専用となるスポーツタイプの マニュアル トランスミッション オイル です。
現在、市販されているスポーツタイプのミッションオイルは、そのほとんどが、機械式 LSD対応品となりますが、機械式LSDと、純正OPENデフでは、内部構造が異なることから、ミッションオイルに求められる性能も一部違ってきます。
まず、共通の性能として、ギアの保護およびシンクロの同期に関しては、機械式LSDおよび、OPENデフともに、極圧性・耐摩耗性に優れ、高温、高負荷の状況下でも強固な油膜を維持するミッションオイルが必要不可欠となります。しかし、機械式LSDオイルに添加されている、LSDディスクの 潤滑⇔ロック をスムーズに行うための摩擦調整剤は、純正OPENデフには必要ありません。
そこで、TM-SQUARE OPENデフ専用 ミッションオイル for SWIFTでは、この高価な摩擦調整剤を排除。そして、強靭なベースオイルと純正OPENデフに必要な各種添加剤のみを配合し、徹底的にピニオンギヤ部の潤滑性能と、ミッション部のギアおよびシンクロを保護するといったように、コストをかけるポイントを絞り込みました。結果、長期間ミッション内部を保護し、エンジン始動直後から、サーキットの連続走行まで、すべての温度帯で究極のシフトフィールを実現します。
リーズナブルプライスでありながら、スイフトの純正OPENデフで、「サーキットや、ワインディングでのスポーツドライビング楽しみたい!」 そんなニーズにピッタリなミッションオイルが出来上がりました。
マッチング
〇 用途 スイフトの純正OPENデフ専用
マニュアル トランスミッション オイル
〇 適合 スイフト全車(マニュアル車)
※機械式LSDには、ご使用いただけません。
※オートマチック トランスミッション には、ご使用いただけません。
※HT81Sは、内容量が2.2Lとなりますので容量的にご使用いただけません。
〇 ステージ ストリート、ワインディング、サーキット等、すべてのステージに完全対応。
〇 推奨使用温度域 常温~130°C
〇 ライフ 通常のミッションオイルと同等、または、同等以上
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このオイルに替えたら、シフトがスコンスコンと入りそうな気がします。
しかし価格は4,500円! なかなかのお値段です。
ポチッとな!
かってしました。
そうして到着、・・・・・・・・・・
えっと、小さい・・・・・
アマゾンの検索画面で「SUZUKI スズキ純正 トランスアクスル&ミッションオイル ギヤオイル 75W-80 3L 99000-22B21-036」のとなりに表示されていたので、画像から何故か4L入っていると思い込んでしまっていました。
2リットル・・・・・
アルトのギアオイル量は2.3Lです。
ちょっとたりない・・・・
仕方なくもう1缶ポチりました・・
9,000円、なかなかの出費です。これで効果が無かったら泣きます。。
アルトのギアオイルは左前輪奥にフィラーボルト、車下にドレンボルトがあります。
フォラーを緩めるには、長めのエクステンションバーを2本程つないでやらないと届きません。
フィラーボルトをゆるめて、ドレンボルトを外し、ギアオイルを抜きます。
なるべく抜きたかったので、1時間くらい放置して、しずくが垂れないところまでまちました。
最後にブロアでデフ内の古いオイルをできる限り抜きました。
「TM-SQUARE スイフトスポーツ オープンデフ専用ミッションオイル ZC31S/ZC32S/ZC33S TMOL-MT010 」の登場です。
オイルジョッキで2.3L計ってシュポシュポで注入しました。
最後にボルトを締めて完了です。
早速調子を見に行ってみましょう!!
最初、10分くらいは普通に走ってオイルをギアに馴染ませます。
オイルが温まって、ギアに食いついてきた頃合いを見計らって、いろいろとシフトチェンジしてみます。
おお!
明らかに2速に入りやすくなっています。
アルトバンのギアは2速と3速が異常に離れているので、もともと3速から2速へのシフトダウンは苦手とするところですが、ほとんど引っかかりも無く、スムーズにシフト操作できるような気がします。
良いんじゃない~~~
9000円かけたので効果が無ければ泣くところですが、結構いい感じです。
さらに、プラシーボなのかもしれませんが、全体的になめらかになって、なんだか数馬力パワーアップしたような走りをしてくれます。
これはよい!
高価なオイルですが満足度は高いです。
さて、わずか1000キロ(そんなに走ってないかも)ほどで交換した、もと、アルトに入っていたオイルですが、もちろんリサイクルします!
という事で、娘ちゃんジムニー!
ヒカリオートで、現状渡し、整備不要で格安で譲ってもらったので、自分でいろいろと整備性ないといけません。
娘ちゃんジムニーですが、振動や騒音が目立っていて、トランスファーの切り替えがかなり渋いです。
トランスファーと、リアデフのオイル量が0.8Lと1.5Lなのでちょうど2.3L、今抜いたオイルをそのまま使用出来ます。
早速、娘ちゃん号のトランスファーオイルを抜いて見ました。
なんと言うことでしょう!
シャバシャバです。。
ほぼ限界に達していたようです。
続いてリアデフもオイルを抜きます、、、
なんと言うことでしょう!オイルが1Lくらいしか入っていませんでした。
JA11のトランスファーとリアデフにアルトで使っていたオイルを注入します。
モリブデン添加剤を入れているのでガンメタのような色になっています。
さて、こちらもインプレッション。
早速違いが現れました、明らかに静かになりました!
モリブデン効果かな?
振動も随分ましになった感じです。
オイルでこんなに違いが出る物かと、改めて関心です。
噂によると、アメリカ製のオイルが全体的に良いとかなんとか。。
やはり良い値段がしますが、今度は2号車でアメリカ製オイルを試してみようかな~